私たちが携わる設計の5つの部門と主な鉄道電気設備
変電部
変電部が設計を行う設備は、電車線やその他の電気設備へ電力を供給するための変圧器、整流器、遮断器などの機器により構成されています。
変圧器は、主に電力会社から受電した交流高圧電力を電車の動力に適した電圧や、その他の電力設備への配電に適した電圧に降圧します。
整流器は、直流電化区間において交流電力を直流電力に変換します。
遮断器は、高圧側と低圧側にそれぞれ挿入し、電力設備を過電流や地絡から保護します。
電車線部
電車線部が設計を行う設備は、電車に電力を供給する電車線路や、それらを支える支持物等により構成されています。
電車を動かすための動力源は電気で、交流と直流があります。直流は1500V、交流は20000V、新幹線は交流25000Vです。その電力は吊架線からトロリー線を経て、電車のパンタグラフに供給されます。
電車線路は、き電線、吊架線、トロリー線等により構成されています。
支持物は電車線路を支える電柱、ビーム等により構成されています。
電車線は通過する車両の最高時速に応じて太さや材質が決まります。太くなるほど重量や風圧の影響が増し、支持物も重さに耐える物を敷設する必要があります。
電力部
電力部が設計を行う設備は、受配電設備、配電線路設備及び電灯コンセント等の電力設備で構成されています。
受配電設備は主に駅にあり、特別高圧や高圧で変電所から受電した電力を必要な電圧に変換して、各負荷に供給します。
配電線路設備は主に線路沿線に整備され、沿線の信号設備、電気融雪器や駅に電力を供給しています。
電力設備は主に駅にあり、旅客が快適に乗降・移動できるために欠かせないもので、照明設備、エスカレーター、エレベーター、空調・給排水に使われる動力や、防災設備などに電力を供給します。
また、鉄道特有の負荷設備として発車標、自動改札機、自動券売機、可動式ホーム柵(ホームドア)といったものもあります。
駅の配電所は、高圧2回線で受電されることが多く、一方の配電線路で事故があった場合でも、もう一方の健全な回路に切り替えることで安定した電力を供給しています。
信号部
信号部が設計を行う設備は、閉そく装置、信号装置、軌道回路装置、転てつ装置、連動装置その他の機器、踏切装置により構成されています。それらにより、列車の衝突や脱線等を防ぎ、列車運行を安全に能率的にサポートします。
軌道回路は、列車の在線位置を他の装置に知らせます。
閉そく装置は、列車間の離隔を確保することにより、安全を確保します。
転てつ装置は、列車の進路を決定します。
連動装置は、列車の在線位置や転てつ機の開通方向から、進路と速度の双方について、列車の進行の可否を判断します。
信号装置は、列車に進行の可否と許容される速度を指示することにより、安全を確保します。
その他の設備として、衝突や脱線を防ぐために、列車に自動的にブレーキをかけるATS・ATCの地上装置、各駅ではなく線区全体の信号機や転てつ機を集中して1か所で制御するためのCTC装置等があります。
鉄道と道路の交差する箇所には踏切装置を設け自動車、通行者及び列車の安全を確保します。
通信部
通信部が設計を行う設備は、保安通信装置、旅客サービスのための通信装置、情報収集装置により構成され、列車の運行や駅構内の保安、旅客の安全確保、IT情報サービスやテロ対策等、要求される状況と旅客サービスに対応するほか、災害防止のための情報収集も行います。
保安通信装置は、運転指令所と駅間、電力指令所と変電所間の連絡に使用する有線通信機器のほか、運転指令員と列車乗務員間の無線通信機器や列車の安全確保のための無線通信機器等があります。
旅客サービスのための通信装置は、駅係員が旅客案内放送を行うための放送装置、発車ベル、列車の接近時等に行われる自動放送のほか、駅に設置された複数の時計が常に同一時刻を表示するための電気時計、主に車掌が乗降客の監視に用いる監視装置があります。
情報収集装置は、雨量計、風向風速計、地震計があり、列車を自然災害から守ります。